旅 日 記
藤沢~二ノ宮
8時に目を覚ましたがまた寝てしまい、次に10時に起きた。きのうと違いハットする起き上がりが無い。
10時半ごろ宿を出て、藤沢を10時38分にスタートした。
きのうの荷物のかつぎ具合が思ったより良かったので今日はどうかなと思ったが、駄目であった。すぐに肩が疲れてきた。
どうしようもない。今日は日曜日だ。しかし我には関係ない。だけどやはり間のびしたのどかな雰囲気はよい。
どこかの学校の校庭でパンの朝食をとった。クラブかなんかで時々学生が通るだけで静かなものだ。
平塚に入る前の馬入橋から初めて山らしい山が見えてきた。屋外で初めての写真をここで撮った。
平塚市内では歩行者天国をやっていてここで車は一時途切れる。
大磯あたりで初めて海が見えてきた。大磯と二ノ宮の間にある売店で弁当を買おうと入った。弁当は無く赤飯だけがあった。
それを買うことにしたが、そこのおばさんが歩いているの?と聞くので歩いていると答え、日本橋から歩いていることなど話した。
おばさんは、僕が重労働向きでなく細い線だとか言っていた。京都まで行くと言ったら驚いて「無理よ!」と言われた。
それにしても僕はそれほど弱々しくみえるのかなァ。野宿用の古新聞をもらって出た。
二ノ宮駅に17時38分に着いた。
今夜は野宿。海岸の方に出て物色した。海水浴時のプレハブ小屋がいっぱいあったが、皆くぎづけされていて開かない。
いろいろ探してまァしょうがないという程度で手を打って決めた。道の片側が崖に面して、もう片側がプレハブ小屋が並んでいる。
小道というか通路というかそんな所だが夜は人は通らないだろう。赤飯を食べた後、手提げバックにノート類を入れて駅前の喫茶店に行った。
そこで日記などを書いた。
8時半頃喫茶店を出る。もちろんほとんどの店は閉まっている。暗い海岸の方に向かうが気味は良いものではない。
幸いに海岸線を走る西湘バイパスの照明で少しはそのあたりは明るかった。
例の地点に戻り、寝場所の仕度をして、9時頃に眠りにかかった。しかし、なかなか寝付けなかった。
そして心配していたことが起こった。10時過ぎ頃か、頭の方向で物音がした。
ギクッときき耳を立てていると、その音はしばらくしてからこちらに向かってきた。
人だと感じこりゃやばいと思いながらもそのままスッと素通りしてくれればいいなと思った。
その音は頭上で止まった。気配からその人はこちらをのぞき込んでいるんだなと思った。
「なーんだ、人か!」という声が聞こえた。向こうも薄気味悪がっていたんだろう。そして横を通り過ぎようとした時、足で1回けとばして行った。
やりやがったなと思いながらじっとこらえて知らんぷりしていた。その人はそのまま通り過ぎて行ってしまったかと思われたが、またすぐに戻ってきた。僕はアァまた来やがったな、このまま寝ているふりをしてると何をするかわからないと思い、ムクムクと起き上がった。
その人は「さっきはゴメン、あれで起こしちゃったんじゃないかと思ってまた戻ってきた。」とか何とか言った。
その人も初めはびっくりしたらしい。そりゃそうだろう。暗闇の中にこんなものがゴロッと横たわっていたら誰でもびっくりするだろう。
その人は少し酔っ払っていたみたい。背広も着ていたし、少なくとも悪人ではないだろう。
しかし、その人が去った後、僕は言うに言われぬ恐怖感でよけい眼がさえてしまった。
もしかして、さっきの人が人を引き連れてやってくるのではないか、そうでないにしても、また、人が通るのではないか、普通の場合にはそんなことはありそうもないが、普通でない時もあるし・・・・。
西湘バイパスを通る車の走り抜ける大きな音がする。海が波を押し付ける雄大な音がする。その音の中で僕の耳は小さな小さな足音を聞き分け分けようとする。僕の頭ではそんな気の張ることはよせと言っているのだが耳は言うことを聞かない。
僕は気が疲れて疲れて、その疲れで眠れればいいなと思ったが、なかなかそうは問屋が卸してくれなかった。
12時から1時まで眠ったのか、あるいはウトウトしていたのかよくわからないが、たぶん後者だろう。
そのうちにだんだん寒くなってきた。それでも何とかして眠りたいと頑張った。兎に角、早く朝になって欲しかった。
こんな思いをしようとは想像もしなかった。なんでこうなるの?こんな経験も後になればいいものだと頑張った。
4時から5時の間やっと眠れた気がする。
パン 180 TEL 10 みそラーメン 320 ジュース 100 赤飯 200 菓子 50x2 コーヒー 250 トースト 250 Σ=1410
馬入橋より初めて山が見えた
夜ここで寝ました
寝袋